製作70周年記念4Kリマスター、だけど日本劇場初公開。

 今週、実は優先順位の都合で、火曜もきょうも観る作品は先週中に確定してました。どちらも新宿なので、ハシゴできたら最高だったんだけど、あいにくきょうみることにした作品はきょうが都内の最終日。『ゴジラvsコング』が遅らせたくなかったのだから、もはやこの日から移しようがない。
 前日までの天気予報では、出かけているあいだくらいは天気が保ちそうだったので、バイクで出かけるつもりでした。しかし当日の空は思いのほか不穏、予報もちょうど帰りの頃合に悪化してる。おとといみたいに、出かけてみたら心配無用だった、なんてパターンもあり得そうですが、大事を取って今回も電車を使うのでした。
 訪れたのは新宿シネマカリテ。昨年は短期間に立て続けに訪問するときもありましたが、今年はこれが初訪問。電車で来るのも久し振りなので、何番車両に乗れば、最寄りの東南口に出るのかも忘れていて、余分に歩いてしまった。
 鑑賞したのは、『少女ムシェット』のロベール・ブレッソン監督が自身の作風を完成させた代表作、信仰と自身を蝕む病のあいだで揺れる若い司祭の懊悩を描いた田舎司祭の日記』(MERMEID FILMS配給)。実は私、シネマカリテで前に観たのもロベール・ブレッソンなのだった。
 ……作業が大詰めで、毎日寝不足になってる状態で観る作品ではなかった。なんども意識か飛びかけた。話の切れ目は感じてないので、たぶん完全には眠ってない……はず。
 しかし、静謐のなかで織り込まれた感情描写は実に豊潤。初めて任された教区に意気込みながらも、身体の不調に加え、信徒の不信心ぶりに悩まされ、思うようにいかない。若さ故経験を疑われ信心の深さを疑われ、求められて助言を与えても却ってボタンをかけ違える。信仰というものがしばしばひとを追い込んでいく、という様を淡々と、凝縮して描いている。この監督は本篇以降、職業俳優を使わず素人で撮るスタイルを使っているのですが、だからこその拙さ、朴訥さが、プロのそれとは違う真実味を生んでいる。
 昨年鑑賞した『バルタザールどこへ行く』『少女ムシェット』にも通じる諦念、虚無感が既に明瞭な味わい深い作品。映像ソフトではリリースされ、映画祭などでも上映はされたらしいのですが、劇場公開はこれが日本初なのだそうです。既に亡くなった監督ですが、この感じだと今後もリヴァイヴァルやリマスターが公開される機会はありそうなので、なるべくチェックしたいと思います。この遣る瀬ない空気が好き。

 鑑賞後は、私にとってはもはやいつものルートになりつつある麵屋海神に立ち寄り昼食。思いっきり昼食時に食い込んでいたので、座れなかったら別の食事にするつもりでしたが、空席があったのでそのまんま入店。
 食事を済ませて出ようとすると、入口から階段に向かって列が出来ている。実にいいタイミングだったらしい。私にとって、ここはほんとに相性がいいようです。

コメント

  1. […] 原題:“Journal d’un cure de campagne” / 原作:ジョルジュ・ベルナノス / 監督&脚色:ロベール・ブレッソン / […]

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