“映画大好き”って言われたら観るしかないじゃねーか!

 最近、土曜日はあんまり映画館に来たくない、というのが正直なところ。もともと人が多いのが苦手なたち、かてて加えてこのコロナ禍です。映画館の対策は信用してますが、移動中のことや、利用者のマナーまでは制御出来ない。
 とはいえ現在、ほんとに観たい作品が貯まってます。哀しいほど順調に観逃してしまった作品も出ているので、どーしても観たいものは土曜日だろうと出かけざるを得ないわけです。
 しかも本日のお目当ては、TOHOシネマズ上野では既に1日1回上映で、開映は16時45分……案の定、ロビーがひとでいっぱい。営業として順調そうなのは喜ばしい限りですが、平日のほんのりとした混み具合に慣れきっている私にはちと息苦しい。
 鑑賞したのは、pixivから誕生した人気漫画の映画化、天才プロデューサーの手引で長篇映画に携わった新人監督と、関わったひとびとの葛藤や冒険を熱く描き出した映画大好きポンポさん』(角川ANIMATION配給)。漫画のほうは知らなかったんですが、チラシで存在を知って、これは絶対に観よう、と思ってました。だって、“映画大好き”ってタイトルに掲げられちゃ、ねえ。
 しかしタイトルから想像していたよりもしっかりとした、“映画好き”による“映画好き”のための映画でした。ハリウッドならぬニャリウッドでキャラクターはオリジナル、とはいえ人物名がいちいち実在の俳優、監督をもじってたり、作中でズバリ『ニュー・シネマ・パラダイス』のタイトルが出てきたり、だいぶ交差していて、表現にも名作を意識した部分がちらほら。これだけで映画好きとしては楽しい。
 そして劇中での映画作りが如何にも楽しそうで、そして熱い。直感を信じて経験の乏しい監督と女優を起用し、大物俳優がフランクな振る舞いで現場の空気を良くする。逆境から生まれたアイディアが自然を味方につける爽快感、そして最終段階に入ってからの迷いや大きなトラブル。映画作りというもののロマンやワクワクがしっかり、昂揚感のあるドラマとして組み立てられてる。
 鏤められた描写が巧みに収束していくプロット、その頂点にある結末も鮮やか。正直そこまでの期待はなかったんですけど、これは非常にいい作品でした。なんなら現時点で、私のなかの今年度トップ10には確実に入る快作。
 ……しかし、観に行ったのが遅かったようで、劇場にパンフレットの在庫なし。出来不出来に拘わらずパンフレットは必ず買う私にはこれがけっこう痛恨でした。なまじ作品が良かったのでなおさらです。別の上映館に当たってみるか……。

コメント

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