『リディック:ギャラクシー・バトル』

ユナイテッド・シネマ豊洲、スクリーン3の前に掲示されたポスター。

原題:“Riddick” / 監督&脚本:デヴィッド・トゥーヒー / 製作:ヴィン・ディーゼル、テッド・フィールド / 製作総指揮:サマンサ・ヴィンセント、マイク・ドレイク、ジョージ・ザック / 撮影監督:デヴィッド・エグビー / プロダクション・デザイナー:ジョセフ・ネメックIII世 / 編集:トレイシー・アダムス / 衣装:シモネッテ・マリアーノ / キャスティング:アン・マッカーシー / 音楽:グレーム・レヴェル / 出演:ヴィン・ディーゼルカール・アーバン、ジョルディ・モリャ、マット・ネイブル、ケイティー・サッコフ、デイヴ・バウティスタ、ボキーム・ウッドバイン、ノーラン・ジェラード・ファンク、ラオール・トゥルヒージョ、コンラッド・プラ、ノア・ダンビー / ワン・レース・フィルムズ製作 / 配給:Presidio

2013年アメリカ作品 / 上映時間:1時間59分 / 日本語字幕:長澤達也 / R15+

2014年3月8日日本公開

公式サイト : http://www.riddick-movie.jp/

ユナイテッド・シネマ豊洲にて初見(2014/03/15)



[粗筋]

 流転の果て、リチャード・B・リディック(ヴィン・ディーゼル)はある辺境の星にひとり、置き去りにされた。陰謀により左脚を骨折する大怪我を負い、その喉元に食いつこうとする野生生物や、過酷な自然との息つく間もない戦いを強いられる。

 だが、リディックの心は折れなかった。それどころか、ここしばらくの生き様が腑抜けていたことを悟り、襲いかかる脅威と真っ向から対峙して、己の本能を蘇らせようと試みる。

 凶暴な獣たちを打ち倒し、或いは飼い慣らして、星を放浪したリディックは、やがて共用基地を発見する。もともと暗殺者であり、脱獄した過去ゆえに巨額の懸賞金を懸けられていた彼だが、周到に準備を済ませると、救難信号を発し、自らの存在を宇宙に知らしめた。

 いち早く現れたのは、サンタナ(ジョルディ・モリャ)率いる賞金稼ぎの面々であった。リディックの伝説は知っているが、恐れることなく罠を仕掛け、リディックの首を狙う。サンタナが準備しているあいだに、ジョンズ(マット・ネイブル)率いる傭兵団が到着した。ジョンズは訳あって、リディックから話を引き出すことを臨んでおり、協力し合うことを要請するが、サンタナ聞く耳を持たない。

 だがサンタナは知らない――自分がいったい、どれほど恐るべきものを相手にしようとしているのかを。

[感想]

ピッチブラック』で異様な存在感を放った宇宙屈指の暗殺者リチャード・B・リディックの、初登場から数えると3作目にあたる作品である。前作では予想外の変化を遂げてしまい、果たしてあれからどのように物語を綴っていくのか、と少々危惧していたのだが――恐らく、第1作から第2作の変化に不満を覚えていたひとにとって、本篇は喜ばしい驚きだろう。なにせ、第2作での変化をいったん白紙に戻し、第1作目のテイストに回帰している。

 ただ、誤解しないでいただきたいのは、決して前作をまったく無視しているわけではない、ということだ。出来事としていっさい存在しないかのように扱っているわけではなく、あの展開を踏まえて、リディックが自らの変化をどう捉えていたのか、そしてどんな道を選ぶか、という主題を置くことで、序盤におけるリディックのひとり舞台を支えるバックボーンとして活かしている。そして、そのうえで彼が壮絶なサヴァイヴァルに挑む姿を描いているのだ。

 登場する生物はSFらしくどこか奇異な造形をしているが、しかし決して特殊な生態は示さない。だがそれ故に激しい生存本能と対峙するために、リディックは傷ついた身体を癒し、順応させ、充分な時間を費やす。そのストイックさは、SFである以上にサヴァイヴァル映画の趣が色濃い。

 リディックが冒険の果てに救援を呼んだあたりから、雰囲気は急速にサスペンス調に転じる。このくだりに入ってからの緊迫した描写は、まさに『ピッチブラック』の趣である。しかも特徴的なのは、ここまではずっとひとり芝居で物語を作ってきたリディックが、一転して露出を控えることで、新たな登場人物たちの“脅威”として動くのである。まがりなりにも各地を荒らしてきた風格を感じさせる賞金稼ぎと、冷静沈着な傭兵たちを手玉に取るさまは、序盤での逞しさ、聡明さを徹底して見せつけてきたからこその説得力とインパクトがある。

 そして、このリディックと賞金稼ぎたちとの駆け引きを経て、物語のトーンはもういちど変化する。ここだけ切り取れば、また別種のSF映画の様式をなぞらえているようだ。それ故に本篇を、前作よりも抑えた予算で、SF映画の人気の高いスタイルをごった煮にした、といった見方をしてしまうかも知れない――それもまた意図ではあろうが、しかし本篇には決して、異なるテイストを乱暴に掻き混ぜたが故の大味さはない。

 紆余曲折を辿るものの、本篇は一貫して、リディックというキャラクターの魅力を描くことに徹している。その姿勢に乱れがないから、物語に芯が通り、繰り返し雰囲気を変えながらも全体の安定感を保っているのだ。

 題材も展開もB級SFの様式美をなぞっているのに、本篇の全体像はいわば、ある男の強靱で揺るぎのない思考を辿っていく、さながらハードボイルドの風格を備えている。中盤以降のプロットは間違いなく第1作のテイストに回帰する意志を窺わせているが、しかしズバリと主人公の名前を打ち出したタイトルの通り、本篇はリディックという男の熱気漂う色香を描くことにより力を傾けた作品と言えよう。

関連作品:

ピッチブラック』/『リディック

ビロウ』/『パーフェクト・ゲッタウェイ

バビロン A.D.』/『ワイルド・スピード EURO MISSION』/『ナイト&デイ』/『トータル・リコール』/『RED/レッド

エイリアン』/『プロメテウス』/『プレデターズ』/『パンドラム』/『マチェーテ・キルズ

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