『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』

ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン [DVD]

原題:“Bridesmaids” / 監督&製作総指揮:ポール・フェイグ / 脚本:アニー・マモロー、クリステン・ウィグ / 製作:ジャド・アパトー、クレイトン・タウンゼント、バリー・メンデル / 撮影監督:ロバート・イェーマン / プロダクション・デザイナー:ジェファーソン・セイジ / 編集:ウィリアム・ケアー、マイク・セイル / 衣装:リーサ・エヴァンス / 音楽:マイケル・アンドリュース / 音楽監修:ジョナサン・カープ / 出演:クリステン・ウィグ、マーヤ・ルドルフ、ローズ・バーン、ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ、エリー・ケンパー、メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウド、マット・ルーカス、ジル・クレイバーグ、マイケル・ヒッチコック、ミッチ・シルパ、テリー・クルーズ / 配給:東京テアトル / 映像ソフト発売元:GENEON UNIVERSAL ENTERTAINMENT

2011年アメリカ作品 / 上映時間:2時間5分 / 日本語字幕:? / R-15+

第84回アカデミー賞脚本賞・助演女優賞候補作品

2012年4月28日日本公開

2012年11月2日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray Discamazon]

公式サイト : http://bridesmaidsmovie.jp/

DVD Videoにて初見(2013/01/26)



[粗筋]

 アニー・ウォーカー(クリステン・ウィグ)の幼馴染みで親友のリリアン(マーヤ・ルドルフ)が、いきなり婚約した。当然のように花嫁付添人を頼まれたアニーは、喜んで承諾する。

 付添人はアニーひとりではない。新郎ダグの妹メーガン(メリッサ・マッカーシー)にリタ(ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ)、ベッカ(エリー・ケンパー)、いずれもクセモノ揃いだが、特に問題なのはヘレン(ローズ・バーン)だった。リリアンと知り合って半年程度だが親友を気取り、婚約披露パーティでスピーチを競い合って以降、アニーに対抗意識を燃やし始めた。

 何とか折り合いをつけて、リリアンの結婚式を成功させたい、と考えるアニーだったが、開いたケーキ屋は潰れ彼氏にも逃げられ、請求書まみれのアニーに対し、爪先から踵までセレブのヘレンは、高級ブティックを易々と押さえてみせたり、花嫁の独身最後の旅の旅券を奢ったり、と金に糸目をつけずリリアンをもてなす。アニーは嫉妬と自己嫌悪ゆえに失態を繰り返し、リリアンとの関係はいささかぎこちないものになっていった。

 そんな彼女を励ましたのは、婚約披露の帰り道、フラフラ運転をしていたアニーに注意をした警察官のローズ(クリス・オダウド)だった。アニーが閉めたケーキ屋のファンだった彼は、再会した彼女が落ちこんでいるのに気づくと、親身になって相談に耳を傾け、気晴らしまでさせてくれる。知っている男とはまるで違う優しさに、アニーは自然にローズに惹かれていく……

[感想]

 女性版『ハングオーバー!』とか裏『セックス・アンド・ザ・シティ』とかいう惹句が添えられた本篇だが、どちらも微妙に違っているように思う。

 確かに、結婚式に関連するイベントを題材としているし、過程で描かれる出来事の下品さは『ハングオーバー!』に通じるし、セックスについて包み隠さず語り合うくだりなどは、セレブを軸としない『セックス・アンド・ザ・シティ』さながらだ。

 だが、本篇は決して酩酊や酔狂でのみ話は進まない。むしろ、プロローグから明白なように、本篇の主題は惨めさと自己嫌悪であろう。いきなりスポーツじみた濡れ場から始まるが、相手の男は彼女が泊まるのを許さず家から追い出し、アニーは開かないゲートをよじ登って出ねばならなくなる。いきなりのジャブめいたこのプロローグの言いようのない情けなさが、本篇全体のカラーを象徴している。前半のハイライトである、高級ブティックでの壮絶なひと幕のインパクトが強すぎて目を眩まされるが、この事件も含めて背後には常に、ヘレンが象徴する富や成功へのコンプレックスがあるのだ。

 だから、一見トーンが変わったような印象を与える後半も、実はまったくブレていない。陰で縮こまっていた部分が表層に出て来たに過ぎないのだ。物語中最大の修羅場での野卑な言動を頂点に、相変わらず随所で下品なユーモアが盛りこむ一方で、アニーが自らのネガティヴな部分をさらけ出し、向き合い、どうにか乗り越えていくまでが描かれる。

 本篇はそういう構成の巧みさも出色だが、登場人物の扱いの絶妙ぶりがまた素晴らしい。偶然に出逢う警官が鍵を握るのは一目瞭然だが、それ以前にアニーの気持ちを弄ぶ“ヤリ友”の言動もいい具合にアニーの気持ちを掻き乱し、その後の発奮に貢献している。

 面白いのは女性陣の配置だ。この作品、主人公アニーに対比して悪役として扱われているのはヘレンのはずだが、しかし本当に事態を混乱させ、アニーを自己嫌悪に陥れている張本人は、幼馴染みである花嫁リリアンではないか、という気がする。彼女の、悪気は一切ないだろうが、無意識のうちにアニーを苦しめ追いつめていく言動は、そうと気づくとヘレン以上に苛々する。多分に、ヘレンのひとを惑わす言動に振り回されているきらいはあるが、もしリリアンがもう少し冷静であれば、話はよっぽど穏当に済んでいただろう。そうして当の花嫁が付添人のリーダーを任されたアニーを追い込む一方、意外な人物が励ましに現れる趣向も面白いし、敵役であるヘレンにもコンプレックスがあり、まるっきり相容れない人間ではない、という一面も織りこんで、大団円への布石を用意している。

 ブティックにおける強烈すぎるひと幕を筆頭とする、ユーモアの過激さがどうしても受け付けない、というひともいるだろう。だが、もしそのあたりをちょっと眉をひそめる程度で済ませられるなら、最後まで鑑賞してみるといい。誇張も感じられるが、金持ちではないごく普通の地位にある女性の本音が沁みて、最後には爽快感も味わえる、下品でも上質のコメディである。

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