『ARIA The ANIMATION』第九話 その 星のような妖精は…

 ウンディーネの星を志す藍華の訴えを契機に、ウンディーネの基礎を築いた人物のもとを訪ねる。日本風の田舎町に暮らすその人だが、彼女が灯里たちに与えた薫陶は意外なもので……。

 アリア・カンパニーの創始者グランマ登場。彼女の暢気な要求に、過剰に応えようとして空回りする藍華がなんか可愛いのです。田園風景のなかではしゃぎまくるアリア社長は言わずもがな。

 もともと未来世界を舞台にスローライフを描いている作品ですが、今回のスローっぷりは更に飛び抜けてます。ただ、これは原作を読んでいるときも思ったことですが、普段はヴェネツィアの石を中心に構築された、水の流れにたゆたうような風情のある街並を主に描いているのに、ここだけいきなり日本の山村になってしまっているのがなんとなく変。しかしそれを“なんとなく”程度に留めてしまうのは、街の風景よりも、穏やかに暮らしていくことを主題としているからなのでしょう。そういう意味では、作品の世界観を膨らませる意義のある一話であり、このあたりで持ってきたのは間違いではない。

 今回も若干、作画に微妙なところが見受けられましたが、やっぱり高レベルで安定していることに変わりはなし。願わくは、もう少しウンディーネとしての仕事ぶりを描いたエピソードが充実していると嬉しいんですけど。背景のゆっくり流れる様が好きなのです。

 ちなみに原作ではこの話は夏のエピソードでしたが、アニメ版の時間の流れに沿って、秋に変更されています。とうもろこしが栗になっていたり、蚊帳がお風呂になっていたり、なんとなく意向を尊重したアレンジが可笑しい。

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